2016/10/31
全国34大学で構成する国立大理学部長会議は10月31日、基礎研究の推進と、それを支えるため国から提供される運営費交付金の金額維持を求める声明を公表した、と毎日新聞(10/31)が報じた。同紙によれば、記者会見した東京大の福田裕穂(ひろお)理学部長は「基礎研究なしに独創的な技術は生まれない。それにお金を出すのは将来の日本への投資だ」と強調した。現在は実用に直結する応用研究が重視される傾向にある。
一方、基礎研究は、将来どう役立つか分からない面があり、声明は「(研究者が申請する)競争的資金で支援されず、まして産業界の支援はあり得ない。大学は運営費交付金が毎年1%ずつ削減され、教員数も大きく減少した。大学の知の継承と革新を損なう」と窮状を訴えている。また、今年のノーベル医学生理学賞に大隅良典・東京工業大栄誉教授、昨年の同物理学賞に梶田隆章・東京大教授が選ばれたのは「基礎研究の成果」とし、「このままでは基礎研究の体力が奪われ、10年、20年後に日本からノーベル賞が出なくなる」と指摘している。